先日実家に帰ったとき、急に母親から訊かれました。
「よくチラシとかテレビとかで『○○で検索』って出てるやろ? あれってどうしたらいいの?」
えーっとそれは Google か Yahoo! でキーワードを入力して検索ボタンをクリックすれば……なんて言ったって通用するはずがないので、実際に触ってもらいながら教えていくことに。
もちろん実家にパソコンなんてないので、とりあえず型落ち(今年の春モデル)を僕の方で立替え調達。
一応 MS Office もプリインストールされているモデルを選び、その他ウィルス対策ソフトなども購入して、とりあえず必要な環境は整えました。
で、先週末に実家で直接教えてきたのですが……。
想像を遥かに超える初心者&年配っぷりだったので、気が付いたところをまとめてみます。
たぶん、参考にしていただけることもあるんではないかと。
その道のプロの方にとっては当たり前なこともあるでしょうが、僕には目から鱗なことばかりでした。
自分基準で考えてたり、同じような人たちだけで固まってると、意外と気付かないことも多いんですね……。
ちなみに、本当ならネット接続までやってしまいたかったんですが、契約やら手続きやらに 2 週間ほどかかるらしく、ここに書いてるのはオフラインでのパソコン操作のみです。
それでも、充分すぎるくらいのボリュームですけど。
(最後の方にちょっとしたおまけもあります)
かなり長くなってしまったので、お時間があるときにごゆっくりどうぞ。
基本スペック
まずは、パソコンと両親のスペックをザックリと。
- TOSHIBA dynabook Satellite B350/W2FB PB3502FBSTBW-K(2011春モデル 価格.com限定マウス付モデル)
- リビングテーブルの上で使うこと前提なので、ノートパソコン一択(デスクトップは最初から選択肢には無し)
- ディスプレイは 15.6 インチ(ワイド)。価格との折り合いを考えるとこれくらいが最大サイズ。ただ、もう少し大きい方が良かったかも(後述)
- Microsoft® Office Personal 2010 インストールモデル。文書を自分で作るというより、開いたりテンプレを編集したりするため(年賀状を見据えて)
- 「ウイルスバスター2011 クラウド」を買ったものの、ネットには接続しなかったので今回は使用せず(次回インストール予定)
- 初回セットアップはすべて僕が担当
- 父親:60歳、母親:58歳
- 二人ともパソコンは超初心者
- 父親は会社でパソコンを使っているらしい。が、どうも独自のシステムっぽいので、その経験はあまり役に立たず(「右クリックしたら画面の左側にメニューがバーンて出る」って言ってました)
- インターネットが何なのかよく分かってない
- ケータイサイトを見ることもままならない
- どっちかというとメールより電話
- ネット検索ができればいい(と思っている)
- 今回のレクチャーは母親を中心に行いました
Mason Working on Computer / mcclave
最初の難関、マウスの持ち方
「動きがぎこちなかったりするんだろうな」くらいには思っていましたが、いやー、ナメてました。
いくらやってもポインタが真っすぐ動かないので、よくよく観察してみると持ち方からしておかしい。
普通は手や腕の向きとマウスの向きが平行になるように持ちますが、母親はなんと斜めに持っていたんです。
実際に見た方が分かりやすいと思うので、僕の手で再現してみました(血管が浮いてるのは気にしないでください)。
これじゃ真っすぐ動くはずがありません。
まずは持ち方の説明に 10 分。
で、マウスの裏を見せて「ここで動きを拾ってポインタが動いてるから、ここをなるべく意識して……」な説明に 10 分。
そんなこんなで、ようやくスタートラインに立つまで計 30 分ほど。
うわー、マジか。これはヤバいぞ。
次の難関、マウスの動かし方
持ち方は何とか分かってもらったものの、動きは相変わらずぎこちないまま。
どうにも滑らかさがないというか、余計な力が入って硬さが目立ちます。
クリックするときにもグッと押し込んでしまったり。
なかなか思ったところにポインタは行ってくれません。
それでまた観察していると、またしても特徴的なことを発見しました。
手首を支点に、弧を描くように動かしていたんです。
これも僕の手で再現してみました(血管が浮いてい(ry
そりゃ真っすぐ動かんわ。
ってことでまたマウスの裏を見せながら説明すること 10 分。
これはヤバい。ホンマにヤバい。
結局、この日のうちにぎこちなさが消えることはありませんでした。
初日にいきなりスイスイ動かせるとは思いませんが、実際目の当たりにするとなかなかビックリします。
ひょっとしたら、関節が硬くなってたり筋力が落ちてたりするのかも。
(でもフツーに台所に立ちっぱなしで料理とかしてるけどなぁ)
さてさて、ついにクリックですよ
さて、続いてはクリックです。
二人とも「クリック」という言葉を知ってはいましたが、どういうときにどこでクリックしたらどうなるか、ということはもちろん知りません。
何度も口を揃えて言っていたのが、「どういうときに普通のクリック(シングルクリック)で、どういうときにダブルクリックなのか、が分からない」ということ。
僕らは感覚的に「デスクトップアイコンはダブルクリック、アプリケーションのボタンはシングルクリック」だと分かる(判断できる)のですが、両親からしたらその基準が分からないのです。
まぁ当然といえば当然でしょうけど。
(メールフォームの送信ボタンをダブルクリックする人なんてザラに居ますしね)
そこら辺はどうにも説明しようがないので、「慣れ」とだけ言っておきました。
(「クリックで選択できるものはダブルクリックで開くことができる」なんて言ったって分かりっこないし)
何か分かりやすい基準ってあるのかなぁ。
あと、クリックという操作そのものにも慣れというか練習が必要なようです。
どうしても力が入り過ぎてしまって、クリックするときにマウスも動いてしまうんですね。
なので、思ったところでクリックできないし、ダブルクリックと認識してくれなかったりすることも。
単純にダブルクリックのスピードが遅い(クリックの間隔が長い)という弱点もあります。
アイコンをダブルクリックしたつもりが名前部分をシングルクリックしてしまって、それだけでものすごく慌てたりもしていました。
「別のところをクリックすれば外れる」って言っても「別のところってどこ!?」という感じ。
まぁ、知らなければそれで当然なんですかねぇ(←だいぶ慣れた)。
どうしてもマウスの操作に馴染めない場合は、逆転の発想でトラックパッドの方が良いのかも知れません。
ポインタの動きが安定しますし、目標を定めてからクリックすることもできるので。
僕の感覚からすると「マウスが使えない場合にやむを得ず」という感じでしか使わないトラックパッドですが、意外に便利だと思う人は多いんでしょうか。
未知の存在、ホイール
クリックは知っていた二人ですが、ホイールは知らなかったようです。
「回せばスクロールする」という単純な仕様ですが、そもそも「スクロール」のイメージがうまく掴めない様子でした。
スタートメニューやエクスプローラーで試してみたんですが、何かやっぱりぎこちない……。
スクロールバーにポインタを合わせてからホイールを回そうとしたりするし……。
それじゃ便利でも何でもないって!
ネットに繋がるようになれば使う機会も増えるでしょうし、詳しい説明はそのときまで延期。
っていうか説明するの疲れた。
ラスボス、キーボード
言われるだろうなー、と思っていたことを実際に言われました。
「順番に並んでない」
うん、まぁ、そうなんですけどね……。
ここは「そういうもんやねん」ということにして、細かい説明はスルー。
入力方法については、「かな入力」についてもちょっと考えてはみました。
が、僕がまったく知らないのでサポートできないことに加え、アルファベットの位置と“かな”の位置を両方覚えないといけないことを理由に、とりあえず断念。
別に入力スピードを競うワケじゃないですし。
それに、ローマ字くらいは分かる、はず……。ねぇ(誰
本当はネット検索で練習したかったんですが、接続ができなかったのでそれは次回に持ち越し。
代わりに、パソコン内に入っていたマニュアルのソフトを起動し、キーワード検索を利用して文字打ちの練習です。
(ついでに「検索ってこんな感じ」を何となく分かってもらうという狙いも)
ローマ字打ち、文字の削除、変換、矢印キー……などなど、基本的な操作だけで項目は非常に多くなってしまいました。
人に教えて初めて気付きましたが、普通に文章を作るだけでも、意外と複雑な操作をしてるんですね。
「shift」キーについて説明しているときに「?」がいくつも並んでいるのが見えたので、「ctrl」や「alt」については一切触れずにおきました。
本人は本人で覚え切れないと思ったらしく、最終的にはすべてメモることに。
そのメモを見ると、実際のキーの位置が分かるように書いていました。
やっぱりキーの名前ではなく、位置関係で覚えた方が良いんでしょうね。
スペースキーには大きく「変換」と書いてありましたが。
そうそう、変換についても「なるほど」と思ったことがあります。
それは、操作に不慣れな人の場合、本当にちょっとしたことで簡単に行き詰まってしまうということ。
いくつも変換候補が出てきたり、複数の単語を同時に変換しようとしたり、それくらいのことが大きな壁になり得るんです。
ケータイメールの操作でも、「(単語ごとに複数の文字を変換するのではなく)一文字ずつ漢字に変換することも多い」と言っていました。
例えば「初心者」なら、「初め」と打ってから「め」を削除して「心」を打って……という具合。
「しよう(使用、仕様、私用……)」のように、変換候補がいくつもあるものは、その傾向が顕著なようです。
なので、「○○で検索」という打ち出し方をするときに、もしパソコン操作に不慣れな人もターゲットに含むなら、なるべく簡単に変換できる言葉の方が良いんだろうなぁ、なんてことも思いました。
特別なキーワードでなく、一般的な言葉であったり、むしろ変換しなくてもいいくらいが理想的かも知れません。
その他、気が付いたことなど
Midge cat and computer / dougwoods
パソコンや IT に対する疎さをあなどってはいけない
とりあえず、ビックリするくらい基本的な用語を知りません。
「マウスもな、『操作機』って言ってくれた方が分かりやすいんや」ってなことも言われました。
いや、それは分かりづらいと思うんだが……。
まぁ何にせよ、横文字に一定の抵抗感があるのは確かなようです。
また、パソコンという得体の知れないものに対して、両親は必要以上に恐怖心を抱いているようです。
マウスにしてもキーボードにしても、あるいはどこかをクリックするにしても、すべてにおいて「恐る恐る」触ります。
僕らは「クリックしたくらいじゃ壊れない」ことを知っていますが、両親からすると完全に未知の領域。
どんな場面でも大丈夫かどうかの判断ができないんですね。
父親は「どうしようもなくなったときはどうしたらいい?」ということをしきりに気にしていて、「とりあえず(右上の)×を押せばいいんか?」と何度も訊いてきました。
でも、こればっかりは「状況による」としか答えられないんですよね……。
強制終了すべきかどうか判断できるはずもないので、「ctrl+alt+del」はあえて教えませんでした。
ただ、必要となる場面も出てくるでしょうから、これはまだ悩みどころで、どうしたものか決めかねているところです。
自分との能力差を低く見積ってはいけない
小さな文字は読めません。
何をするにも老眼鏡が必須アイテムです。
仕方がないのでメニューを検索して、デスクトップなどの表示を 1.5 倍にするという機能を ON にしました。
確かに見やすくなりましたが、デスクトップがかなり狭く感じるという結果に……。
やはり 15.6 インチじゃ小さかったんですかね。
18 インチくらいはあった方が良かったかも知れません。
やはり面倒臭がらず、一緒に家電量販店などに出向いて見てみる必要があったように今となっては思います。
ここは大きな反省点。
あと、一回や二回やったくらいじゃまったく覚えてくれません。
やはり何事も覚えるためには反復しかないですね。
パソコンを起動してログインするためのパスワードを入力するとき、それまでに何回か自分でやっていたにも関わらず「文字出ぇへんで?」「こんな点々やったっけ?」なんて言い出したり。
いや、そんなもんなんです。そんなもんですよ、初心者なんて。
見ているようで見ていないし、聞いているようで聞いていません。
親切心で事細かに教えようとしても、はっきり言ってキャパオーバーです。
「del」と「back space」の違いだけで混乱するくらいですから(削除が 2 種類あるというだけでかなり衝撃的らしい)。
まとめ
とまぁこんな感じです。
ある程度時間が経ってから慌ててスマートフォンに書き留めたので、半分以上は記憶頼りなんですが。
当たり前と思っていたことが当たり前じゃなかったときの衝撃は、やはりすさまじいものがありますね。
あんなに言葉を選んで話したのも、随分と久しぶり(ひょっとしたら初めて)な気がします。
しばらくしたらネット接続編があるので、それも出来ればまとめたいですね。
気力が続けば良いんですけど……。
おまけ:Windowsについて
ここ数年ずっと Mac だったので、かなり久しぶりにガッツリ Windows を触りました。
Windows 7 は完全に初めて。
その個人的な感想についてもまとめておきます(主に不満です)。
まず、分かりづらい。僕でもパッと見ただけじゃ分からないことがたくさんあります。
単純に UI の問題じゃないでしょうか。
「次に起こすべき行動」がまったく浮かんできません。
したいことがあっても、どうしたらいいか分かりません。
クリックしたらいいのか、ポインタを乗せるだけでいいのか、判断つかないことが多々あります。
また、文字が非常に小さく、コントラストもかなり低いため、年齢に関わらず見づらいと思います。僕は見づらかったです。
特にスタートメニューは、ゴチャゴチャとしていて、同じような見た目がズラッと並んでいるだけにしか見えません。
あれじゃなるべくなら使いたくはないですね。
デフォルトの背景画像が真っ赤でチカチカだったので、なるべくシンプルなものに変えようと思ったら、Windows のロゴがドーンと真ん中に鎮座しているものくらいしかありませんでした。
ちょっと選択肢が少なすぎませんかね?
もっとシンプルなのもあったんですが、なぜかウィンドウの仕様も 旧バージョン(XP くらい?)のようになっちゃうし。
なんかよく分からなかったです。
Windows NT の緑一色が懐かしいなぁ……。
あと、イケてなかったのがエクスプローラー。
たくさんあるので箇条書きにします。
- 選択したかどうかが分かりづらく、クリックし続けた状態でマウスを動かしたときに、そのフォルダやファイルがドラッグされるのか、複数選択できるのか、やってみるまで分からない。
- ウィンドウが透けて見づらい(これは設定で変更可能(たぶん))。
- 左のボックスがアクティブになった状態で右のボックスにポインタを合わせてホイールを回すと、左のボックスがスクロールしてしまう。これはエクスプローラーだけじゃないかもだけど、いちいち選択しないといけないのは面倒すぎる。
- ショートカットなどで深い階層のディレクトリを開いても、左のボックス(ディレクトリ構成)は一つも展開してない。そのため、自分が今どこに居るのかも分からない。
- 左のボックスのディレクトリを展開するためのボタン(三角印)がとんでもなく小さい。僕でも合わせるのに苦労するくらいだから、初心者&年配に合わせられるワケがない(そんな初心者がエクスプローラーを使う機会は少ないとしても)。
少しはマシになったかと思ってましたが……。
非常に残念な結果になりました。
おまけ 2 :外部デバイスについての Tips
Windows に USB や各種フラッシュメモリを接続した場合、タスクバーのインジケータで取り外す処理をして「このデバイスは安全に取り外せます」的なメッセージが出ないと外しちゃダメ、というのが僕の中の定説でした。
もちろん基本はあくまでそうなんですが、デジカメのような電源のある機器を直接繋いだ場合は例外のようです。
インジケータでいちいち操作しなくても、繋いだままデジカメの電源を切れば、何事もなかったかのように Windows の管理下から離れ、ケーブルを外しても怒られることはありません。
もちろんインジケータからこれまで通りに処理しても大丈夫ですけど。
でもまぁ、デジカメの電源を切る方が簡単ですね。
いやー、新発見でした! (え? 常識?)