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あるレビューを読んで思った「本」と「ブログ」について。

[読了時間の目安:約 7 分]

僕がレビューを読むときは、主に低い評価のものを読みます
(その理由は「内容・指摘が具体的」「書いてる人が本気」「ステマ的な要素が(ほぼ)ない」などですが、またいずれ別記事で書くかも知れません)

今回もある本のレビューを Amazon で読んでいました。
その本は『困ってるひと』(大野更紗著)。
個人的に「すごいなぁ」と思って、事あるたびに人へ薦めたりしている本です。

で、例によって星一つのレビューを読んでいたんですが、「なるほどなぁ」と感じることが多かったのも事実です。
本の題材が題材だけに、かなりデリケートな問題を孕んでいることも事実で、不快に思う人もきっと多かったのでしょう。
それ以外にも、いろいろと的確な指摘があったように思います。

ただ、僕が気になったのはまた別のところ。
気になったというか、正直、かなりビックリしました。
「文章が稚拙」「語彙が少ない」「周りの人への配慮が足りない」などの指摘があり、それは確かにそうだと僕も感じる部分はあるのですが、そこから「ブログで充分」という風なことを書いている人が何人か居たのです。


Reading (30th/52) / skippyjon

つまり「本を出すほどの実力がないんだから、ブログで書いとけば?」ってことなんでしょうか。
なんかもう、なんていうか、「え?」ですよ。
「ブログ」に対してなんて失礼な!
怒りとか憤りとかを通り越して、軽くパニック状態です。

……が、時間を置いて冷静に考えてみると、それは違うんじゃないかと思うようになりました。
つまり、「ブログ」への一般的な認識なんて、まだまだこんなもんってことなのかなぁ、と。

ここで思い浮かぶ「ブログ」は、「今日のランチはパスタでしたー。キャハ☆」みたいな感じですよね。(逆に普段そういうブログを読まないので良い例えが思い浮かびません。すみません)
5 分で読み終わる記事に何日もの時間と手間をかけたり、30 分前の出来事を一瞬で新聞記事並みにまとめあげたり、政治や経済について深く研究・考察したり、専門的で複雑な知識や情報を一般の人にも分かりやすく解説・紹介したりしているブログもたくさんありますが、それらはここでの「ブログ」には恐らく当てはまりません。

別にみんな本を出すための練習としてブログを書いてる訳じゃないんですが、そのことを単に知らなかったり考えることもなかったりする人が、実はたくさん居るんじゃないか、と思うに至った訳です。
いわゆる「フツー」な人の現状の感覚としては、「文章が稚拙」「語彙が少ない」「周りの人への配慮が足りない」けど「ブログなら許される」と考えているんじゃないでしょうか。
「本=公的なもの」「ブログ=私的なもの」みたいな認識があるのかも知れません。

内容や表現にいろいろな問題があるにせよ、それ以外のところに価値があると感じる人が多いからこの本は評価されている訳で、形態が「本」だろうが「ブログ」だろうが関係ないはずなんですけどね。
あるいは、「本」という形態への信頼感が絶大すぎるんでしょうか(その大半は妄想なのに)。


A Boy Reading a Book / Daehyun Park

本の中にもちゃんと書いてますし、ちょっと調べれば分かることですが、この『困ってるひと』も元々は Web での連載記事でした(»終了した連載一覧 | ポプラビーチ)。
それが人気を博して「本」になったという流れがあって、より多くの人の手に渡るようになりました。
僕も「本」になってから、その存在を知った一人です。

そうやって文章を読む人が増えるにつれ、不快に思う人が増えたことも事実でしょう。
でも、「救われた」とか「面白かった」とか「書いてくれてありがとう」と思う人が増えたこともまた事実です。
そう思う人が居なければ、そもそも「本」になることもなかっただろうし、こんな話題にもなってないはずですから。
良い面も悪い面も、それに触れる人や機会が多くなれば増幅される」という、ただそれだけのような気がするのです。

「本」にも「ブログ」にも、それぞれ違った役割や目的があります。
だからこそ Web 連載記事だった『困ってるひと』も、そのままでは達成できない幾つかの目的を達するため「本」になった訳です。
とはいえ、「本」だろうが「ブログ」だろうが、言葉あるいは文章での表現であるという面から考えれば、許されることと許されないことに違いはありません。
(もちろん第三者の目に触れない形であれば、別にいいんですけどね)
だから、もしこの本で許されないことがあるのであれば、「ブログで充分」とかではなく、内容そのものに対して批判すべきです。
「本」として許されるのか、ではなく、「表現」として許されるのか、という視点で。

僕のブログが「本」になることはないでしょう。
なぜなら、その意味がないからです。
でも、僕はブログを書き続けています。
なぜなら、その意味があるからです。
ただそれだけのことです。

Reading with Kindle in my Study
Reading with Kindle in my Study / brewbooks

“ペンは剣より強し”と言いますね。
「言葉」は非常に強いものです。良くも悪くも。
「本」だろうが「ブログ」だろうが、アナログだろうがデジタルだろうが、何らかの言葉を綴る以上は責任が伴います
一方では許されるけど、他方では許されない、なんてことは有り得ません。あってはいけません。
そんなもんは当たり前すぎるルールであり、最低限のマナーだと思います。

もちろん「今日のランチはパスタでしたー。キャハ☆」にも責任は生じてます。
Twitter にも、Facebook にも、Google+ にも、Tumblr にも、あと、えーと……、あ、mixi にも。

思わぬところで「言葉」や「文章」について考えさせられる機会を得ました。
それに、「ブログ」の地位向上もしていかないといけないですね……(遠い目

※「ブログ」と「Web での連載記事」はもちろん違うものですが、その違いを書いていたら余りにも長くなりそうだったので、あえて説明を避けました。もし混同した人が居たらすみません。

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